国は嘘をつきジャーナリズムは、それを暴くというのは報道の永遠の課題だ。 だが、二つのドキュメンタリータッチのアメリカ映画「バイス」と「記者たち」はそれが決して簡単ではない事を明確に、そして面白い物語として見せてくれる。…
<シネマ・エッセー> ファースト・マン
米ソ宇宙開発競争のさなか、ジョン・F・ケネディ大統領が「1960年代中に人間を月に到達させる」とのアポロ計画を発表したのは1961年5月でした。その2年半後、ケネディはテキサス州ダラスで凶弾に倒れ、宇宙センターが設けら…
<シネマ・エッセー> マルクス・エンゲルス
私の手元に昭和27年2月1日(第3刷)発行の岩波文庫のマルクス エンゲルス著、大内兵衛 向坂逸郎譯『共産党宣言』(定価40円)が残っています。 巻末の有名な一行「萬國のプロレタリア団結せよ!」の下に、私にしては珍しく、一…
<シネマ・エッセー> ロング、ロングバケーション
末期がんの妻エラを演じるヘレン・ミレンは、映画『クイーン』でエリザベス2世を演じてアカデミー主演女優賞をとったイギリスの名優。アルツハイマー病の元大学教授、ジョンを演じるドナルド・サザーランドはハリウッドで最も映画出演回…
<シネマ・エッセー> はじめての おもてなし
2017年9月に行われたドイツの総選挙で、アンゲラ・メルケル首相の率いるキリスト教民主・社会同盟が第1党になったものの、得票率33%というこれまでの最悪の結果となりました。そして、反移民、反難民を掲げる「ドイツのための…
<シネマ・エッセー> ヒトラーに屈しなかった国王
ノルディック・スキーの本場、ノルウェーの国王、ホーコン7世(1872-1957) は1902年に起きた八甲田山(陸軍)雪中行軍遭難事件の折に、見舞いとして明治天皇にスキー板を贈った親日家です。「スキー板があれば、このよう…
<シネマ・エッセー> 否定と肯定
映画の試写会に、監督や俳優が出演して作品について語ることはありますが、劇映画の<登場人物>が映画の試写前にスピーチするのは、珍しいのではないでしょうか。日本記者クラブで行われた『否定と肯定』の試写会には、この映画のヒロイ…
<シネマ・エッセー>ダンケルク
戦争には 決断 敗北には 闘魂 勝利には 寛仁 平和には 善意 ウインストン・チャーチルの「第二次大戦回顧録」(毎日新聞刊)の冒頭にある彼の言葉です。大戦初期の敗北によって、英仏海峡のダンケルクに追い詰められたイギリス…
<シネマ・エッセー>関ヶ原
東海道新幹線に乗り、列車が「関ヶ原トンネル」を通るたびに、私の思考に”転換”のスイッチが入ります。上り列車のときは「これからは東日本だ」という一種の緊張感。下りの場合は「関西に帰った」という感慨です。トンネルの西側、近…
<シネマ・エッセー>いつも心はジャイアント
スウェーデンと言えばイングリッド・バークマンとグレタ・ガルボという二人の名女優を生んだ国ですが、ヨハネス・ニホーム監督・脚本のこの映画は、スウェーデン映画界のアカデミー賞3冠をとっています。 映画の主人公、リカルドは生ま…