2016年の夏、日本の放送史に大きな足跡を残した同世代の人物2人が前後して世を去った。83歳の永六輔と82歳の大橋巨泉である。共に東京の下町で生まれ育ち、学歴も早稲田大学中退という2人は、得意分野や活躍の場は違ったが、遊…
「 絶歌」出版の問題を考える
神戸連続児童殺傷事件の犯行当事者である「元少年A」の手記『絶歌』が出版されて、ひと月弱。やや落ち着いてきたとはいえ、この手記の出版に対する反応の際だったところは、その内容や記述への論評もさることながら、出版そのものを問…
水深44mからのメッセージ~セウォル号事故と報道姿勢~(上)
2014年4月16日、韓国南西部のチンド(珍島)沖で、旅客船「セウォル号」(6825トン)が沈没した。乗客・乗員476人のうち、修学旅行の高校生ら295人が死亡、依然9人が行方不明となっている。その船体は今、水深44mの…
水深44mからのメッセージ ~セウォル号事故と報道姿勢~(下)
セウォル号事故に対するKBSの報道姿勢は、どんな点が問題になったのであろうか。 まず、KBS若手記者らの反省文は次のように指摘している。「我々は現場にいたが、現場取材をしなかった。遺族が救助活動の不適切さを叫ぶとき、発表…
科学記者養成の問題点「良い記者自然発生説」の経営者たち
私の持論は「良い記者自然発生説」。「良い科学記者というものは、放っておけば組織内に自然発生する(例えば庭の空き缶にボウフラが自然に涌くように)」という説である。 そんなばかな、と思われるかもしれないが、新聞、テレビを問わ…
「表現の自由」を考える ~慶應義塾大学綱町三田会ミニゼミから~
3月4日、2014年度最後のミニゼミが慶應義塾大学三田キャンパスで開かれた。今回のテーマは「表現の自由」、ジャーナリズムに携わる者にとっては永遠の課題だが、特に1月7日に発生したフランス紙襲撃テロ事件をきっかけに、日本で…
風刺画銃撃テロ 表現の自由をどう考える
表現の自由…。これについてこれほど考えさせられたことはない。イスラム教の予言者ムハンマドを扱った風刺画を掲載したフランス週刊紙シャルリー・エブドのパリ本社が、襲撃されたテロ事件である。 1月7日に事件が起きると、日本…
情報収集の基本はやはり新聞
社会心理学に「確証バイアス」という考え方がある。毎日新聞の「余録」から引くと、「自分の願望や信念を裏付ける情報ばかり選んで重視し、それに反する不都合な情報は軽視したり排除したりしがちになる」心の現象を言う(14年8月2…
新聞の転回点だった2014年 ―朝日と読売― Ⅱ
朝日新聞による従軍慰安婦報道を検証する第三者委員会の報告書が、先月(12月)22日に公表された。虚偽だった「吉田証言」の誤報を放置したうえ、2014年の8月に過去の記事を取り消した際に謝罪をしなかったことに対して、「読…
STAP問題、報道も検証されるべきだ
STAP論文について調べた理化学研究所の調査委員会(委員長=桂勲・国立遺伝学研究所長)が、STAP細胞は胚性幹細胞(ES細胞)が混入したと「ほぼ断定できる」との見方を示し、調査を終了した。発表から11カ月、「リケジョの快…