▼スイスは意外と暑かった

6月26日から7月4日まで、多彩な乗り物で絶景を満喫する65歳以上限定のスイスツアーに参加しました。高齢者が対象ですから登山靴が必要な山歩きはなく、ひたすら乗り物を使ってアルプスの雄大な山々を見て回るという旅でした。
スイスと言えば、涼やかな高原、澄んだ空気。まるで軽井沢のような心地良い涼しさを期待していました。確かに、朝晩の空気はひんやりとして上着が手放せませんでしたが、日が昇ると気温がぐんぐん上がり、山から街中に降りるとTシャツで十分、東京の夏の暑さと変わりませんでした。
スイスアルプスでも、かつては雄大だった氷河が年々縮小していると聞きます。温暖化の影響が地球規模で広がっているという実感を持ちました。
▼スイスの物価、高くてびっくり

今回の旅行中、衝撃を受けたのは物価の高さでした。レストランで飲み物を注文したり、スーパーで買い物をしたりするたびに、「高いなあ」とため息が出ました。私の皮膚感覚では物価は日本の2倍です。スーパーやコンビニで売られる菓子パンや飲み物までが贅沢品に見えました。
スイスの通貨は、スイスフランです。EUに加盟していないスイスではユーロを使っていません。日本を出発前、「どこで両替すればいいですか?」と添乗員さんに聞いたところ、「スイスに着いてからの方が良いです。鉄道の駅で両替するのがおすすめです」と言われました。心配性の私は、念のため新橋の金券屋を数軒回り、やっとの思いで100スイスフランと10スイスフランを手に入れました。1フラン180円弱の計算でした。
スイスに到着後は、できるだけクレジットカードを使っていましたが、有料トイレを利用する際や飲み物を買う時にどうしても現金が必要になることがありました。手持ちのスイスフランが少なくなった6日目、ツェルマットの鉄道駅で1万円を両替することにしました。すると返ってきたのは45スイスフランでした。1フランあたり200円の計算で、手数料をなんと10%も取られていたのです。愕然としました。日本で両替した時の方が、はるかにレートが良いではないか。スイスの物価の高さと両替の難しさ。美しいアルプスの景色とは裏腹に、円安の現実が身に沁みた旅となりました。またスイスを訪れることがあれば、日本でしっかり両替してから来よう、と心に誓いました。
▼マッターホルンの朝焼け

標高4,478mでピラミッド型の美しい形をしたマッターホルンは、スイスを代表する名峰です。その観光や登山の玄関口・ツェルマットでマッターホルンの朝焼けを見ることができました。その日は午前5時前に起き、町の中心部を流れる川のそばに陣取り、空が白み始めるのをじっと待ちました。やがて、鋭くとがった山の頂が淡い紅に染まり、山肌がゆっくりと光をまとい、刻一刻と表情を変えていきました。息をのむような光景を夢中でスマホのカメラに収めました。
ところで私たちがいた場所より少し上流に架かる橋は、「日本人橋」と呼ばれていました。朝焼けのマッターホルンをひと目見ようと、多くの日本人団体客がこの橋の上に集まっていた時代があったからです。「日本人橋」には、この日、多くの中国人観光客の姿がありました。マッターホルンは変わらずそこにあるのに見上げる人の顔触れ、国籍は確実に変わりました。世界の中で日本の存在感そのものが薄れていっているのを感じました。
▼トップ・オブ・ヨーロッパ
旅も終わりに近づいた7日目、宿泊先のリゾート地・アデルボーデンから専用バスに揺られ、スイス中部の観光拠点・グリンデルワルトを目指しました。
車窓を流れる牧草地や遠くに聳えるアルプスの鋭鋒が、高揚感を静かに膨らませます。グリンデルワルトに着くと、次の主役はアイガーエクスプレスです。この最新鋭のロープウエイは、標高差1,377mを15分で上ります。濃い緑と雪渓が混じるアルプスのパノラマを一望できました。
アイガーグレッチャー駅で下車し、ここでユングフラウ登山列車に乗り換えです。列車は、アイガー、メンヒ両山の岩盤を切り抜いたトンネルをぐんぐん登っていきます。途中1か所だけ列車を降りて、洞窟のガラス窓越しに氷河を眺めました。約30分でユングフラウヨッホ駅に到着。この駅は、標高3,454mに位置し、「ヨーロッパで最も高所にある鉄道駅」として“トップ・オブ・ヨーロッパ”と呼ばれています。

高速エレベーターでスイス観光のハイライト、スフィンクス展望台に上がると、目の前に広がるのはアルプス最大のアレッチ氷河です。右手には「アルプスの乙女」の愛称を持つユングフラウ(標高4,158m)の美しい本峰、左手にはメンヒ山頂が鋭く天を指します。全身を包む冷たい風と果てしない白の光景…自然の壮大さに、ことばを失いました。
展望台からテラスに出て、さわやかなアルプスの空気を胸いっぱいに吸い込みながら万年雪を踏みしめて歩きました。
▼アルペンマカロニ

山の空気はお腹を空かせます。帰りに、アイガー北壁の真下にある登山鉄道の乗換駅・クライネシャイデックのレストランで、伝統料理・アルペンマカロニを食べました。付け合わせとしてリンゴをすりおろした甘いソースがついていました。濃厚なチーズに包まれ、ベーコンやポテトの旨みが優しく広がる熱々の一皿は旅の疲れを癒し、アルプスの絶景を満喫した余韻が身も心も満たしてくれるようでした。
山形良樹(元NHK記者)
スイス素敵ですよね。昨年8月、私たちも鉄道の旅を10日楽しみました。
旅の前日までの大雨の影響で、プリエンツ・ロートホルン鉄道は運休。残念でしたが、ユングラウヨッホ鉄道、アイガーエクスプレス、
ゴールデンパス・エクスプレス鉄道、氷河特急、ベルニナ特急…乗鉄気質がちょっぴりある私にとっては最高の旅となりました。
温暖化の影響で、氷河特急で氷河は見えず(;’∀’)
とは言え「世界の車窓から」を全身で楽しみました。
ユングフラウヨッホ三山、マッターホルン、アレッチ氷河…そのいずれもが地球の生命を感じさせ、特にゴルナーグラード展望台(3000m)からみたマッターホルンの朝焼けは感動 神々しさの一言。リッフェル湖の逆さマッターホルンも素晴らしく、高山ハイキングの足の重さも思わず忘れてしまいました。
旅は素敵ですね。山形さんのブログで色々思い出し、スイスをもう一度楽しむことができました。
これからも旅のブログ楽しみにしています。
今回も読んでいただきありがとうございました。スイスは、仕事で2回行きましたが、アルプスに登る余裕はありませんでした。やはりスイスの魅力は雄大な自然ですね。次回は、来年、フランスかエジプトに行くつもりです。