シリーズ 客船で世界を旅してみた ~その8~

 海外旅行中に怪我をしたり病気になったりすると、治療費がとても高くつき、しかも全額自己負担になります。ですから旅行会社は、海外旅行保険への加入を勧めます。私の場合、海外に出れば自動的に保険が有効になる、いわゆる
 ”自動付帯”のクレジットカードを何枚も持っているので、保険に入りません。重要なのは傷害と疾病に対する補償額ですが、複数枚持っていると補償額を合算できるので安心です。
 今回の船旅では、あえて海外旅行保険に入りました。クレジットカードの保険期間は90日が限度だったからです。保険期間は合算できません。105日間の船旅では2週間余り無保険状態になってしまいます。夫婦2人で13万円の出費でしたが、実際、船に乗ってみるとヘリコプターやボートで救急搬送される患者が相次ぎ、保険に入っていて良かったとつくづく思いました。
 最近になって保険期間を伸ばす裏技を知りました。旅行中に公共交通機関を利用すると、その利用後から保険が適用される”利用付帯”のクレジットカードを持って出国し、”自動付帯”のカードの保険期間が切れる前に、”利用付帯”のカードで飛行機や電車の料金を払い、再度90日の保険期間を獲得するのです。海外旅行に出る前に、持っているクレジットカードの確認が肝要です。さて船旅に戻ります。

~サンクトペテルブルグ~

 2017年5月30日朝、ロシアのサンクトペテルブルグに着きました。ロシア帝国時代の首都で、世界遺産の街というよりプーチン大統領の出身地という印象の強い所です。荘厳な建物が多く権力を誇示するのにふさわしい街です。晴れの日が1年で50日余りしかなく、「雨の都」とも呼ばれていますが、よく晴れていました。
 エルミタージュ美術館ではスリが多いので気をつけるように言われました。つい先日も4人組のスリが逮捕されたばかりとか。3時間かけて観て回るので用を足しておこうとトイレに行ったら早速アメリカ人がカメラを盗まれたと騒いでいました。館内は、JR山手線並の混雑と聞いていましたがそれほどでもなく、地元ガイドの案内で効率よく作品を見て回りました。もちろん駆け足で。
201804_06bところでロシア土産と言えば「マトリョーシカ」が代表的ですが、「マトリョーシカ」のモデルは日本の「だるま」だそうです。ロシアの貿易商人が来日した際、中に小さな「だるま」の入った「だるま」をロシアに持ち帰って芸術家に渡しました。その芸術家が女の子の形に装飾し、「マトリョーナ」という名前をつけました。それが日本の「ちゃん」付けにあたる「チカ」をつけるようになり、今の「マトリョーシカ」になったといいます。

~ヘルシンキ~
 5月31日昼前、フィンランドの首都ヘルシンキに到着。美しい海岸線と豊かな緑から「バルト海の乙女」と呼ばれるフィンランドは、ムーミン、サンタクロースのふるさとです。高さ制限で高層ビルが一つもない市街地を抜けツアーバスで走ること1時間、ポルヴォーの旧市街に着きました。201804_06c17世紀から18世紀に建てられた木造建築約800棟が昔の姿のまま残されています。川沿いにある赤い木造の倉庫群が目を引きました。
 フィンランドはサウナの発祥地で、現地ガイドによると国民の多くがサウナを自宅や別荘に設置していて、世界で一番サウナを使う国民だそうです。サウナで瞑想することもあるといいます。コーヒーの消費量も多く、1日にコーヒーを6杯飲むのが普通です。街を歩いたら人々の服装を見てください、誰が金持ちなのか貧乏人なのか判別できませんよとガイドに言われました。フィンランドはそれだけ中産階級の層が厚いということでしょうか。そう言えば街中でホームレスを見かけませんでした。

~タリン~

 6月1日早朝、エストニアの首都タリンに到着、バルト三国の独立運動の象徴とも言える「歌の広場」を訪れました。エストニアが旧ソ連に支配されていた1988年、約30万人の市民が集まり、禁じられていたエストニアの民族音楽をエストニア語で熱唱し、独立への機運を高めた所です。バルト三国の独立運動は流血なしに独立を果たしたことから、「歌う革命」と呼ばれています。「歌の広場」には5年に一度、3万人以上の歌い手と約10万人の聴衆が集います。この歌と踊りの祭典は世界無形遺産に登録されています。
201804_06d 201804_06e このあと中世の面影を残すタリン歴史地区をゆっくりと散策しました。1997年に世界遺産に登録された美しい街並みです。地元ガイドによると、エストニアでは選挙が自宅でインターネット投票できるほどIT化が進んでいて、ネット上で出来ないのは婚姻届けくらいだといいます。教育水準も高く、ヨーロッパでトップ5に入るとのこと。国土の3分の2が森林で野生動物も多く、おとぎの国にも見えるエストニア、小国とは言え、なかなか侮れない国でした。次はスウェーデンのストックホルムです。
山形良樹(元NHK記者)

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