フォトリポート 東日本大震災、被災地に昇ったスーパームーン

 5月26日、10年前のあの日とは打って変って、海面は鏡の様に静かで穏やかな夕景でした。午後6時40分過ぎ、あの日南三陸町を襲った大津波がやってきた志津川湾から欠け始めた満月が昇ってきました。この日は、今年、満月が一番大きく見えるスーパームーンで、皆既月食と重なるのは24年ぶりです。

 さて、この日は月に一回、南三陸町のホテル観洋の屋上で開く“スターパーティー”の日でした。午後8時11分過ぎ、かけ始めた月が地球の陰の中にすっぽり入る皆既月食となりました。しかし、真っ暗にはならず、地球の大気で屈折した太陽光によって月は赤銅色に輝きます。太陽光は大気を通過すると青い光が散乱、赤い光が残って赤銅色となります。

 そして、月の横で光るのは星です。普段は、満月の光で見えない星が皆既月食の暗さの中に姿を現しました。この写真は、スマートフォンを8センチ屈折天体望遠鏡にあてがって撮影したものです。スマートフォンの性能には目を見張るものがあります。(写真2)

 皆既月食、赤銅色の満月

 ところで、皆既月食が終わり、再び満月が戻りはじめた午後8時51分頃、志津川湾上空を「国際宇宙ステーションきぼう」が飛行していました。船長は星出彰彦さんです。星出さんからはこの日の天体ショーがどの様に見えたのでしょう。

 次にスーパームーンが皆既月食と重なるのは12年後。2033年10月8日です。その時、宮城県三陸町は震災からもコロナ禍からも、きっと完全な形で立ち直っているでしょう。

小林裕(東北みらい推進機構、元NHK報道局映像センター長)

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