第2次世界大戦の発端となったナチス・ドイツのポーランド侵攻のニュースは1939年9月1日の夜、私が少年時代を過ごした大阪でも、新聞社の号外で報じられました。当時10歳(小学校5年)だった私は「1の日」ごとに近くの通りで開…
<シネマ・エッセー>ターシャ・テューダー 静かな水の物語
アメリカ東部の北端に近いバーモント州といえば、映画「サウンド・オブ・ミュージック」で有名なトラップ・ファミリーが、大戦中にオーストリアからアメリカに逃れて住んだ所。今もロッジや一家のお墓が残っているそうです。 そのバーモ…
[試写会から] 映画 PATRIOTS DAY
「PATRIOTS DAY 」はアメリカ独立戦争の最初の戦い、レキシントン・コンコードでの勝利(1897年)を記念するアメリカ合衆国の祝日。戦いから100年余り経った2013年4月15日、アメリカ・マサチューセッツ州ボ…
シネマ彼方此方(おちこち) 誰が嘘をついているのか?
いくつもの事実というピースを集めて到達する真実という絵が、たった一つということなどありはしない。 また、ある人間または組織(国家)にとっての正義が普遍的でないことぐらいは、いまさら説明の必要もないことだろう。一つの正…
映画に仕掛けられた謎を楽しむ
今年になってから、スマッシュヒットとなった二つの映画がロングラン上映を続けている。 スペインの新星カルロス・ベルムトが脚本・監督を手がけた「マジカルガール」と大御所・山田洋次監督の85作目にあたる「家族はつらいよ」だ。…
<ジャーナリストをめざす若い人へ>
映画 スポットライト 世紀のスクープ
今年のアカデミー賞で作品賞と脚本賞を受賞したアメリカ映画「スポットライト 世紀のスクープ」は”ジャーナリスト映画”でもある。メッセージ@penでは、主としてジャーナリストをめざす若い人向けに、こ…
<シネマ・エッセー> アイリス・アプフェル! 94歳のニューヨーカー
トルーマン・カポーティ原作のニューヨークを舞台にした映画「ティファニーで朝食を」のオードリー・ヘプバーンは、大きなサングラスに最先端のファッショナブルな衣装をまとって、実に魅力的だった。その原型を類推させるような印象を与…
<シネマ・エッセー> ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります
ブルックリンといえばニューヨークの中心、マンハッタン島から川一つをへだてた下町で、戦後少したってから日本で上映された「ブルックリン横丁」を思い出す。貧しい一家の心あたたまるエリア・カザン監督の名作だったが、この映画も40…
<シネマ・エッセー> フランス組曲
アウシュビッツに散った作家、イレーヌ・ネミロフスキーの遺著『フランス組曲』(平岡敦訳・白水社)は、著者の死後60年以上がたって娘が保管していたトランクから手書きの原稿が発見され、世界中でベストセラーになった。私も昨年興味…
<シネマ・エッセー>「ヒトラー暗殺、13分の誤算」
最近読んだ『第3帝国の愛人』(エリック・ラーソン著:岩波書店)は1933年から3年間、ナチ政権下のドイツでアメリカ大使を勤めたウイリアム・D・ドッドとその娘、マーサを中心に描いた歴史ノンフィクションである。ヒトラーが全盛…