「追悼」鶴木眞さん逝く

東京大学名誉教授で、東大に移る前は慶應義塾大学法学部教授だった鶴木眞さんが、
7月15日未明、入院先の東京・有明の癌センターで亡くなった。72才だった。
通夜と葬儀・告別式は7月20日と21日、東京新宿区の正覚寺・四谷たちばな会館で執り行われ、東京大学前総長の濱田純一氏 と慶應義塾長の清家篤氏がそれぞれ弔辞を捧げた。
会場には、両大学の関係者 そして 鶴木さんが学長や会長を務めた大学・学会での知人など両日で合わせて凡そ500人が参列、最後の別れを惜しんだ。
鶴木さんは、1965年慶應義塾大学法学部政治学科を卒業、1979年同教授、
1992年東京大学社会情報研究所教授、2003年に退官後 十文字学園女子大学学長などを
歴任した。
ところで、鶴木さんは、長い学究生活を通して数多くの研究論文、著作を残されたが、
慶應義塾大学綱町三田会が2011年1月から発行するようになった月刊の電子版ジャーナル誌「メッセージ@pen」にも度々執筆して頂いた。
特に、2013年10月から翌2014年5月までの間「1973年・第4次中東戦争体験記」と題してエルサレムのヘブライ大学留学時代の出来事を8回に亘って連載して頂いた。
又、鶴木さんは、最近のIS問題にも強く関心を寄せられ、昨年2014年10月,11月,12月の各号に関連の原稿を頂いたが、今年2015年6月号の記事
「不思議な組織『イスラーム国』:モヤモヤ感の不気味さ」 が最後となってしまった。
IS問題について テロとの闘いという表面的なとらえ方だけではなく、
オスマン帝国時代から現代に至るまでの中東地域の歴史をみすえた深い洞察力を基に
示唆に富む指摘が際立っていた。
今や、そうした鶴木さんと議論する楽しみが失われてしまった事は寂しい限りである。
ご冥福をお祈りしたい。

2015年7月31日
綱町三田会代表幹事 瀬下英雄

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