新型コロナ感染症と観光&GOTO

 今回のコロナウイルス感染症は、観光産業に大きな影響を与えました。世界的な流行で、3密を避けソーシャルディスタンスを取ることが求められていることもあり、海外旅行と訪日旅行はほぼゼロ、国内旅行・出張・飲食等も多少は需要があったもののすべてに大きな影響があり、各社・各施設とも対前年10%程度の売り上げがあれば御の字といった状態でした。

①GOTO導入の恩恵は確かにあった

 「GOTOトラベル」「GOTOイート」の実施で、国内関係の売上は対前年が30%から50%まで持ち直したことは事実です。さらに東京発着が解禁になったことで、対前年80%から、中には100%を超えた施設や旅行会社もあったのも事実です。

②しかし裏ではこんなことが・・・

(その1)えっ?急に7月から?

 「GOTOトラベル」は当初8月から開始となっていたのに、急に7月の連休から開始となりました。言う方は簡単でしょうが、扱う業者はシステムの変更、WEBサイトへの案内、マニュアルの作成、中身の徹底等、ものすごい忙しさでした。遅くまで残業しながら、何とか間に合わせましたが、不備も多く、問い合わせに追われる毎日であったことも確かです。

(その2)なんで東京が・・・

 東京が対象から外れた時も大変でした。グループで一人だけ東京在住の場合どうするか?証明書の提出は?等に関して基準があいまいで、説明が二転三転し、現在の混乱は大きなものでした。苦情や問い合わせを受けるのは現場であることを理解してほしいものです。

(その3)出張は対象外?観光目的以外も対象外?

 急に出張や観光目的以外等での利用は対象外となりました。しかし出張の翌日に観光する場合はどうなるのか?1日目はライセンス取得講習を受けて翌日観光するようなツアーはどうなるのか?領収書が会社宛ては対象外なのはなぜ?等細かな連絡が来たのは決まってからです。その間現場ではお客様からの様々問い合わせ対応に大混乱でした

(その4)特定地域を目的とした旅行が対象外・・・

 この「目的」とは何を指すのかがはっきりしていなかったため、大阪市内のホテルに泊まって2日間京都観光は対象外なのに、京都市内に泊まって2日間の大阪観光は対象といったよくわからない対応となりました。それらの説明も必要で、現場はかなり混乱しました。さらにシステムの改修も大慌てで行われました

(その5)ついにGOTOトラベル一時停止

 コロナ感染症が再度拡大したことによってGOTOトラベルが全国一斉一時停止となりました。停止になることは、このような環境ではやむを得ないとは思うものの、GOTOトラベルは続けると言っていて、突然のように停止が発表され、キャンセル料は〇日まで不要など本当に突然でした。当然システムの変更、WEBでの案内なども必要ですし、キャンセルとなればトラベルクーポンの回収も必要です。さらにはGOTOを利用しないで旅行に行かれる方への新たな説明も加わり、現場の混乱は相当なものです。

③今後どうなっていくのか?

 確かにGOTOで多少でも観光産業が盛り上がりました。参加者への恩恵もありました。しかしとにかくすべてが急で、細かな内容は後回し!そのため受付現場・対応施設では様々な混乱があったことも事実です。「恩恵を受けたのだからつべこべ言うな!」と言われればそれまでかもしれませんが、観光施設の倒産も多く、旅行会社でも人員削減・賃金カット・ボーナスゼロは当たり前です。

GOTOトラベルの再開もささやかれていますが、しっかりとした議論を経て、いきなり「明日から」と言ったことが無いようにして欲しいものです。

旅行アナリスト 三田村達夫

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