就活支援18回目を迎えた「秋の夕ベ」

三田の慶應義塾大学キャンパス、南校舎4階で10月5日午後、「秋の夕べ」の行事があった。「秋の夕べ」は、メディア・コミュニケーション研究所(メディアコム)の研究生を対象に、綱町三田会が「就活活動の助けに」と始めて18回目になる。「綱町三田会」というのは、メディアコムと前身の新聞研究所の卒業生の会である。

行事は3部構成。第1部は午後2時すぎから、卒業生によるパネルディスカッション。第2部は、卒業生が面接者として、研究生の志望分野別に模擬面接、全体講評。そして第3部は、午後6時過ぎからの懇親会————といった具合。初めは先輩と後輩が親しく話ができる機会を、と「懇親会」を設ける、まさに「秋の夕べ」としてスタートした。その後、先輩の講話を試みたが、どうも「上から目線」では若者に響かない。そこで、もっと世代の近い卒業生を中心としたパネルや、模擬面接という参加型のスタイルになって9年。すっかり定着した。当初は、もっぱら三田会でお膳立てしていたが、次第に研究生が主導的に運営するまでになっている。

パネルディスカッションは、このように進められる。パネラーには研究所修了5年目程度の年次、つまり若者の「お兄さん、お姉さん」世代で、メディア関連の業界に就職しているOBGに研究生が依頼し、有志が参加した。それぞれの「業界を志望した理由」から、現在の仕事の内容・「やりがい」、「学生時代に取り組んだこと」、といったことを語りあってもらい、質疑応答をするというもの。

今年は、アマゾンに就職した織田遼星君をファシリテーターに、朝日新聞の山本悠理君、ヤフーの今野夏美君、日本テレビの高浜稜君、河出書房新社の森奈生美君の5人がパネルに並んだ。このディスカッションに並ぶ面々の業界ごとの現状も分かって面白いが、今年のひとつの特徴ともいうべきものは、女性2人がともに卒業時の就職先から転職して、現在の仕事を選んでいる点かもしれない。転職の時代でもある。今野君は電話業界から、森君は電機業界のサラリーウーマンから転じていた。「漠然と大手に」から「自分がやりたいこと」への転進だったようだ。就活という目の前の大事を、「自分が何をやりたいのか」と自分を見つめる機会にしたら、とのメッセージもあった。

この席で、ちょっと面白い一幕があった。出席していた40人ほどの研究生に、いま志望している業界先別に挙手してもらったところ、「新聞」の分野に手を上げたのは男子学生の1人だけ、他に多かったのは、テレビ、広告、インターネット……だった。確かに、毎年50人ほどの終了生の進路の業界別を、ここ何年か見ても、新聞業界への卒業生がゼロの年もあった。が、今春の修了生の就職先をみると、朝日新聞だけで4人、中日新聞2人と、新聞への志望がなくなったわけでもなさそうだ。それにしても、全体としては「旧来型のマスメディア」から、次第にネット関連の営業などへの興味・関心に比重が移ってきているのかもしれない。

第2部の模擬面接には、新聞・テレビ・広告・書籍・映画と分野の異なる11人が面接者になった。分野それぞれの分野にかかわらず、多くの志望者が、ある時にはシドロモドロ、ある人は雄弁に、面接に答えていた。これは面接がどのように行われ、どこを注意したらよいか、を面接する場面を公開して行う形で行われてきた。それだけに「恥かしい」と参加をためらう人が多く、参加者が少ない時期があったが、「それも経験の一部」と、どうやら定着してきたらしい。が、今回初めて「この面接は非公開」という面接会場が登場した。これも時代なのだろうか。

第3部は懇親会。上は喜寿からこの春卒業の1年生のOBGや教職員が50人ほど。研究生たちと酒食をともにしながら、それぞれの業界への志望の熱や、経験談の交換をして夜がふけた。一生の大事とする就活を前にした研究生たち、久しぶりに若者たちと交流する年配のOBGの双方に、糧となってことを祈りたいものだ。

高原 安(綱町三田会事務局)

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